「確実なアウトプットと アウトカムで目標実現を」

グローバル化対応での実行計画とキャシュフロー 

18世紀半ばの産業革命まで、人類にとって午(うま)は力仕事(馬力)とスピード(駿足)で人の役に立つ象徴でした。13世紀のモンゴル帝国では、今でいえば米軍の航空機動部隊に相当する騎馬軍団の圧倒的な軍事力で世界人口の過半を統治し、「不換紙幣発行と信用取引や関税廃止」など、今日に繋がる「グローバル通商モデル」が芽生えたそうです。 そして現代、「馬力」はエンジンに代わり、「駿足」は航空機と情報通信に代わりました。
青井勉

1.2008年リーマンショック

リーマンショックは、グローバル化の現実をみせつけてくれました。世界中の企業がダメージをうけましたが、超円高や東北大震災、泰国(タイ)の洪水などが重なったことから日本企業の受けたダメージが一番大きかったといわれました。それでも多くの日本企業が、2013年度の決算で「リーマン直前の業績水準に回復」が見込まれています。 今後のグローバル競争に備えて、経営統合を進める事例もみられます。住友軽金属と古河スカイの統合でUACJが発足しました。国際提携も増えており、森精機が独ギルデマイスターと、東京エレクトロンが米国アプライドマテリアルズと統合します。

2.フラット化と稼ぐ力

「台風が悪い。日本に来るな」といっても台風は来ます。備えが肝心です。同様にグローバル化の現実からは逃れられません。グローバル化では同一労働同一賃金の原則が強く作用します。世界のどこでもできる単純な仕事は、世界共通レベルの賃金に収れんし、フラット化が進みます。ですから私たちは日本でしかできない高付加価値な仕事を次々と生み出していく必要があります。個人であれ組織であれ「稼ぐ力」、なかんずく「キャッシュを生み出す力」を高めていく必要があります。そのためには一人ひとりが組織の目標に向けて「アウトプットを生み出す働き」「単なる動きでない働き」が求められています。

3.アウトプットとアウトカム

アウトプットは自分たちがやればできること、アウトカムはアウトプットの波及効果というように分解すると目標設定と成果測定が容易になります。例えば品質改善というコントロールできるアウトプットを出せば、自分たちでコントロールできないアウトカムの顧客クレームも減っていくことが期待できます。目標設定で明確にすべきことは、アウトプットと期待可能なアウトカムです。 自分たちだけではコントロールできないアウトカムは、アウトプットに伴うものとして効果測定ができます。財務的な業績は、過去のアウトプットの蓄積や供給者・顧客のその時々の動向というアウトカムが大きな部分を占めますが、当期の業績考課は当期のアウトプットによってもたらされるであろうアウトカム(効果)も加味して行なうことになります。

4.アウトプットとセンス

仕事の出来栄え(アウトプット)は、スキルに裏付けられた「センス」に依ります。 センスは自分で磨くものです。スキルは教えることができますが、「センス」は教えることができません。「センス」は日本語では「琴線に触れる」とか「空気を読む」「行間を読む」などと表現されることもあります。セールス、営業、バックオフィスやスタッフ部門等々、職種や専門分野ごとに深堀して「センス」を磨いていけば「一芸は百芸に通ず」です。職業人の「センス」とは仕事上の「判断力」です。個人のバラツキを組織として標準化するために、ISOでは「判断の適切性・妥当性・有効性」を確実にするための節目管理(デザインレビユー)を要求しています。

5.キャシュフローの重視

「生産性」であればサプライチェーンの「スループット」の方が、「労働生産性」よりも有効ですし、「与信」であれば「リスク・リターン」の方が、リスクからただ逃げ出す発想よりも発展的です。 過去の事実を報告するための財務会計とは別に、現在と未来に向けての運転情報を示す管理会計を充実させていく必要があります。管理会計では「キャシュフロー」を重視することになります。 財務会計の数字に偏りすぎると、「経費節減だけの縮小均衡」に短絡したり、稼働率を無理に上げて在庫を増やして計算利益を増やしたり、行き着く先は黒字倒産であったりするという弊害もでてきます。パナソニック創業者の故松下幸之助翁が、経理担当者に「帳簿の利益はどこにあんのや?見せとくれ」と問い詰めた話は有名です。

6.仕事の本質

断片的な会計知識や税務の常識に盲従すると経営上はとんでもないことが起こったりすることがあります。「神は細部に宿る」です。 京セラの創業者 稲盛和夫氏が、京セラの社員に「分業によるダブルチェックの徹底」を求めてきたそうです。「現金を扱う人と入出金伝票を起こす人は必ず分ける。支払いが必要な者は必ず記載内容を正確に記入し、証拠書類を付して伝票を起こし、支払担当者は伝票が正しく発行されたものかをチェックして支払う。支払うのはあくまでも伝票にもとづいてであって、支払担当者個人の意思や判断によるものではない」等々、繰り返しておられます。著書の「稲盛和夫の実学」でも「会計や税務の教科書的な説明よりも何が正しいかで判断してきた。米国法人は輸入の計上基準を変えさせた。公認会計士に言われた通りやって経営数字がでたらめだった。伝票の数字の積み上げがそのまま会社全体の数字であるべきだからモノとお金の動きは一対一が原則。また法定償却の期間もおかしいから、有税であっても実情にあった償却をしてきた」と実例を紹介してくれています。

<最後に>

今年2014年の午(うま)は「人の役に立つシンボル」です。全役職員が組織の役割機能を高めて更にパワーアップして、PDCAとDCAPを回しながら確実なアウトプットと アウトカム(アウトプットの効果)で目標を実現しましょう。全社共通目標「リーマン前の2007年収益にまで回復する」をすでに実現した事業ユニットは、次の成長に向けて歩みましょう。 2015年の未(ひつじ)は「豊作のシンボル」ですから、全セグメント・全部門が「経営大綱2015」の下で「掲げた目標」に対する「アウトプットとアウトカム」を高らかにマイルストーン(一里塚)に刻み込んでくれることを欲して止むことがありません。