「価値提供で社会貢献する職業人生」

就職後の職業人生について

リーマンショックから6年。今年から新卒採用を再開しました。

今年の新卒6名に、このタイミングでのキャリア採用3名を合計した9名の出身大学の地域は、関東2名、東海2名、京阪神3名、九州2名です。理工系2名、留学生1名を含みます。今回の入社で女性総合職がやっと2名になります。もっと増えてくれればと期待しています。 以下、就職して「働く意味」と「仕事を通した社会貢献」について考えてみます。
青井勉

1.まずは「宇宙真理」から

人類も企業も宇宙と自然の一部です。地球は太陽のまわりを秒速30kmで回り、人体は動的平衡(自らを壊し続け、作り続ける)で生命を維持しているそうです。細胞60兆個は60日で生まれ変わるそうです。万物は流転して諸行無常です。般若心経の「色即是空、空即是色」の通りです。

人類も企業も自然の一部です。 「企業も人生も、常に不安定で危機に満ちたもの」です。日本の政治家が票集めで口にする「安心して暮らせる生活」には詐欺の匂いがします。何が起こっても乗り越えていく自助と共助の覚悟と準備が必要です。 外部環境とは変化していくものです。努力せずに現状に甘んじていると、状況はさらに厳しくなります。必死で戦う力を身につけていないと、次の危機で自壊してしまいます。世界の競争から逃げ回るだけでは衰退していきます。

2.「真善美・順理則裕」

当社の経営理念です。一千年以上も続く京都の老舗のように、個人も企業も「時代の変化」とともに出てくる新しさ(流行)を取り入れて変化を続けないと生き残れません。一方で、時代を超えた基本スタンス(不易の理念)も必要です。企業は不易流行です。 人類が様々な経験から導き出した人類普遍の考え方が真善美です。真善美を「どのように実現していくか」の実行指針が、順理則裕(論理的、合理的、倫理的に考えるならば繁栄につながる)です。

現実検討を進めていく上で「事実に基づくアプローチ」が極めて大事です。 私は就職して36年目です。諸行無常に感じ入ります。世界も日本も、日本企業も、取り巻く環境はすっかり変わってしまいました。光洋マテリカに入社して16年目。光洋の事業内容も多くが入れ変わり続けています。これからも時代に合わせて変わっていきます。

3.「働き」と付加価値額

原始社会ではすべてが自給自足ですが、文明の発達ととともに「分業」が進化(発達と退化)して今日に至りました。「現代社会の分業は企業単位」です。個人は企業を通して、付加価値を提供し、企業が付加価値を「市場メカニズムで金銭価値に置き換えていく」ことで、付加価値額(大雑把には「売上総利益+工場人件費+減価償却」)が計上されます。

個人も企業も提供できる付加価値(提供価値)を高めていくことで競争力が高まります。

4.日本国GDPと光洋マテリカ

日本国全体の「付加価値額」がGDPです。統計で確認すると、日本国は勤労者78.96百万人をインプットしてGDP5.96兆ドルをアウトプット、一人当たりで46.7千ドルの付加価値額を稼ぎ出しています。その中から勤労者への所得分配は、雇用者報酬総額3.69兆ドル、一人当たり国民所得だと34.32千ドルが分配されています。

当社の第59期は、国内約130名弱で売上総利益17.2億円、一人当たりで13.3百万円の付加価値額を計上しました。上場企業の平均と比較してみると、ほぼ製造業平均12百万円並みで、全業種平均15百万円にはまだ少し足りません。

5.当社の能力開発

社会人になって約10年間、32歳前後までは、日常の反復繰り返しで習熟していく部分がかなりあります。ですから当社の場合には、32歳頃までは年功序列的色彩が濃くなっています。

能力開発の*MECE(一言で全体を示す修辞法)の「守破離」でいえば「守」の段階です。当社基準でいえば「体得レベルの4等級、会得レベルの5等級」が目安です。当社のルーチンを支えてくれる能力レベルです。 35歳ぐらいからは習熟曲線が横に寝たままとなり、能力向上は、新しい仕事へのチャレンジや自己鍛錬の積み重ねの蓄積がないと難しくなります。スポーツでいえば「熱心な研究と正しい練習」に「より多くの時間とエネルギー」を使った人の方が、競技能力(稼ぐ力)が高まります。 「価値を提供して稼ぐ力」も同様です。

職場には判断力のトレーニングを受けた管理者と行動のリーダーが必要です。PDCAレビユーで判断力を鍛えた小集団の面倒を見てあげられる6等級、明日を切り開いて先導していく管理技術を持った7等級、事業経営者としての8等級以上、これらの上位階層にもっと多くの社員の方々がチャレンジしてくれればと期待しています。

6.価値提供で社会貢献を

「企業が稼ぎ出す付加価値額」から給与が支払われて家計を支え、家族が養われ、勤労者と企業の納税が行政を支えます。更に最終の純利益段階でも、行政(法人税)、株主(配当)、企業(内部留保と再投資)に配分されます。企業は「付加価値額と雇用」を通して、社会全体を支える重要な基盤の役割を担っています。

付加価値額を生み出し、雇用の維持拡大に貢献することで、皆様も仕事を通して社会貢献できるのです。 経済のグローバル化が進んだ今は、国際競争力を失った企業は衰退します。個人も企業も国際競争力に磨きをかけていく必要があります。

7.私の職業人生スタート/1977年

私が入社した総合商社では初任給が66千円か88千円のどちらかだったと記憶しています。コピーは青焼きから今のゼロックスコピーへと変化中で「写真コピー」という言葉が普通でした。

和文タイプライターの時代で、当時の議事録や見積書は手書きで、85年頃にワープロの普及が始まりました。 中国では、文化大革命で「反革命分子」として市中引き回しをされた鄧小平氏が復権して78年に来日し、日本の発展ぶりを自分の目で確認して帰国。深圳(シンセン)特区を皮切りに改革開放が始まり、経済成長が始まりました。82年には英国の鉄の女/サッチャー首相が来日し、「奇跡に近い戦後復興を成し遂げた日本の工業の発展ぶり」を確認し、帰国後にISOの源流となるBS5750を立ち上げました。米国では日本企業の研究が盛んで、レーガン政権は経営品質のマルコム・ボルドリッジ賞を立ち上げました。

<最後に>

人材開発の分野では、伊藤忠商事のVSOP[がむしゃらの20代、専門性の30代、独創性の40代、人間性の50代]、武道や茶道では守破離[基礎は徹底した真似、拡張発展で他流試合と研究、仕上げは独自の境地を開く]、論語[30の而立、40の不惑、50の知命、60の耳順、70の従心]など、有名なMECEがあります。
就職して歩み出した初心の段階で、是非とも「職業人生の目標設定」をして、節目節目で是正改善を進めて、プロとしての力量を高めていって欲しいと期待します。

注)* MECE(ミーシーもしくはミッシー、「もれなく・ダブリなく」英語では、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略)とは、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味する言葉。近代科学の大原則である「全体を示して分類する」「合理的に分類する」を示す言葉として、経営学・経営コンサルティングなどの領域でもよく使われる。また、ロジカルシンキングの一手法として運営コンサルティング社で使われているグルーピング(grouping)の原理でもある。 (ウィキペディア参照)