順理即裕と稼ぐ力

言葉や文化を異にする人々、信ずる神や信念が異 なる人々が話し合うための共通の拠り所は「事実」 と「論理」です。 「知的判断と議論の作法」を通し て、議論で知識を増やし、 自分の知見や判断に変化 と修正を加えて「判断の質を高める」 ことができま す。ISOが標準化した「判断基準(適切か、 妥当か、 効果的か)」も役に立ちます。
青井勉

1.先進国普遍の判断基準

 人類の判断基準は、前近代の「専制的判断やイデ オロギー判断」から、 近代の「事実に基づく合理的 判断」へと進化してきました。 「どこまでも事実と 真っ直ぐに向き合う不断の努力の積み重ね」で 科 学が進化を続けたお蔭です。先進国の近代化社会 では、 「合理的判断の積み重ね」で「法の下の平等」 と「民主主義」が 定着しました。

2.判断には根拠が必要

「組織の中で行われる判断」には説明責任が伴い ます。 説明責任とは「判断の根拠 ( 事実 ) を示す」 ことです。判断の正しさは、根拠の数と質で決まり ます。 根拠は道理にかなっていなければなりません。根 拠が決めつけなどの誤りだと、「なるほどどうりで」 とはいかず、やり直し が求められます。

3.事実に基づくこと

 道理にかなう根拠とは「事実に基づく」ことが出 発点です。事実に基づかない主張は妄言や虚言、妄 想ということにしかなりません。 「事実に基づく議 論」を行うことで「知のスパイラル」で知見や判断 の質が向上すれば真理に近づきます。真理とは道理 を論理で結論づけたものです。

4. 議論の作法

議論が成立するのは「論争当事者」が、事実と 論証の議論で知識を増やしていこう、あるいは判断 の質的向上を実現していこうという目的を共有で きている場合です。  議論に不向きな方々とは、事実などどうでもいい という嘘つき、 合理的な根拠を示せないくせに正し いと信じ込んでいる頑固者の類です。またイデオロ ギーは信仰の問題ですから相手に転向と改宗を迫 るのみで、議論は成立しません。最悪なのは戦争で す。

5.推論規則と合理的な判断

推論 (reasoning) とは、「事実」を元にして「未知 の事柄を推し量って結論付ける」ことです。「考え 方の筋道」が示されることで、 誰であっても「検証 可能」な結論を導き出すことができます。  PDCAレビューなど組織が行うべき「合理的判 断」について ISO9001は「適切か、妥当か、 効果が見込めるか」というチェックポイントを設け ています。